紺野あさ美

苦い運命。

アクシデントによって今週の日曜日がオフになってしまった。

いつも通り、いつも通り仕事で忙しければ、あるいは忘れられていたのかもしれないのに。


――――7月23日。

僕はその日、離れた場所から代々木を想うだろう。

いっぱいの涙、そしていっぱいの笑顔。皆に見送られる彼女の姿を浮かべて。




僕がモーニング娘。を知った時。僕が紺野あさ美を知った時。

『ここにいるぜぇ!』のスタジオライブ、娘。たちの躍動するエネルギーに心奪われた。

目を輝かせ「どこまでも進むよ」と歌っている彼女が、加入時には「赤点娘」だったということを後で知り、驚いたことをよく覚えている。


それから幾年の時が過ぎても、彼女の瞳は変わらない。いや、あの時よりずっと力強く、より頑固になった。

止まらない。ゆっくりでもいいから、じっくり確実に前へと進む。


輝ける猫たち、ガッタス

彼女は四角いゴールの前に立つ、孤独な守護神だった。

しかし、目はあの目をしていた。

両手を広げ、足を踏みしめ、地を蹴り、ボールにぶつかっていく彼女の姿。困難や恐怖を恐れない意志。進む力。


また、強い彼女は柔らかだった。ふんわりした柔らかい雰囲気を持っていた。

おいしいものを食べた時の幸せそうな顔。仲間と一緒にいて微笑んでいる顔。

そして『涙が止まらない放課後』を歌う姿。

力強さの裏には、こんなにも柔らかくしなやかな彼女がいた。

僕は知る。強さは柔らかさから生まれたものだということを。柔らかさは強さから生まれたものだということを。


いつだってマイペースに見え、周囲からもそう言われてきた彼女。

笑って泣いて怒って、また笑って。こうして彼女は、今週で約5年間の活動に区切りをつける。


彼女の「夢」。

口にすれば叶わぬらしいその夢を僕は知る由もないが、彼女なら、あの紺野あさ美なら、きっと臆せず向かっていくことだろう。そしてそんな彼女の姿を思い浮かべる僕の瞼の裏には、いつもあの強い目と柔らかな笑顔があるだろう。

モーニング娘。紺野あさ美」。



「何がしたい?」とか聞くけれど、話せばビックリするじゃん?


夢の翼を広げ、どこまでも進むよ!


出会い、そして、GOOD BYE。


「See you again.」


“Come on say again ! ”



「See you again !!」




紺野あさ美さんについて僕が書くのは、これが最初だったかもしれません。

そして、おそらく最後とも。

もっと書いておけばよかった。本当にそう思いました。


今はただ、7月23日という日が幸せがすぎることを祈って。