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もしミキ

朝。


「おい、朝だぞ、起きろーーっ、講義遅刻するぞっ」
「もうちょっと寝かせてクレよー、って勝手に人の部屋へ入ってくんなー」


だめだこりゃ。



「うー、さみー」
「朝はかなり冷え込むな」


俺と並んで歩く美貴の息が白くなっている。


美貴は俺の幼なじみだ。小さい時から家が隣という「腐れ縁」で、ほぼ毎日朝起こしにくる。小学校も中学もずーっと一緒に通っているし、大学生になってこうしてハタチ過ぎた今でも


「ぁん?何?」
「何でもねーよ」
「眠そーなカオしてんじゃん」
「誰かさんのおかげでな・・・」
「なんか文句あんの?」


この始末。
フツー大学って人によって登校時間違うじゃん?今日は3限からなのにこうして1限からの美貴に合わせて叩き起こされる不条理。俺が1限からの時は起きないくせに・・・。


「コーヒーでも飲むかな」
近くの自販によろよろと向かってボタンを押す。
「ねー美貴にも」
「えー」「いいじゃんケチ」
俺がムリヤリつき合わされてる方なのになんてずーずーしい!
「それにアンタ、今日何の日だかわかってんの?」
「美貴にムリヤリ起こされ・・イテッ」
「何  だ  っ  て  ?」
「ミキサマの誕生日です」
「はい当たりー。だからなんでもゆーコトきくこと」
「わかりましたよ、はいミルクティーでいいだろ誕生日おめでと」


ミルクティーのホットを手渡された美貴の顔が明らかに不機嫌になっている。
うは、ミキサマ低気圧!
「アンタこれがプレゼントってわけじゃないでしょうね」
「そうだけど何か問題でも?」
本当は用意してあったりするけどな。
「マジで??」「うん」
・・・・怒ってる怒ってる。さてそろそろ限界だ、ここでネタばらし・・・


「じゃあさ」
そう言って美貴は急に俺の襟首を掴んできた。な、何を、苦しい。
このまましばかれてしまうのかかわいそうな俺は。
「これでいいや」
スルッ。
美貴は俺の首に巻かれていたマフラーを外した。
外す時に美貴の髪が触れてちょっとくすぐったかった。


「これもらうからね!」
イタズラっぽく笑いながら駆け出す美貴。
「ちょ、返せよー!それお下がりだしきっと俺臭いぞ?」
「いいんだよ!これがいいの!」
「それに・・・」
「言っとくけど今晩は焼肉だから。アンタのおごりで」
「ゲーッ!」


困ったな・・・そのマフラーと色違いのやつが俺の部屋にあるんだけど。
てゆうかそれが用意したプレゼントなんだけど。


だめだこりゃ。