『寝る子はキュート』

これを書き終えたの今日(7月22日)という日はその公演を観てから1ヶ月経ってしまっており、ということは観たのは1ヶ月前に遡るわけであって、非常に申し訳ない。恐るべき遅筆!観劇した日付を忘れないために観た日付をエントリーの日付にしていることをどうかお許し頂きたい。


その公演とは『寝る子はキュート』。℃-uteの皆さんが出演している舞台公演であります。

正直この僕がそれを観に行くのは自分でも意外だったというか、キャラじゃないところがありました。日頃から僕はこのブログで「ハロー!プロジェクト」の中でも比較的年齢が高めのメンバーについて言及してきたことが多く、「小さい子はちょっと・・・」という理由から℃-uteBerryz工房を始めとするキッズ以下のメンバーを敬遠していたのは事実。それは今でも変わりません。まぁ考えてみればハローの中核的存在のモーニング娘。だって低年齢化してきているわけだから、そう変わりないじゃんって言われればそれまでなんですけどね。


そんな僕が今回観劇まで行動するに至ったワケが2つあります。

1つは友人で熱烈な℃-uteファンである「 『それでいいのかい?青春』☆ 」のかしましさんに熱心に推薦されたこと。これがきっかけです。普段良く会う人を誘うなら軽く「観てくださいよ~」の一言で済むかもしれないけれど、相手はこの僕。たまーにしかライブに行けないレアキャラなうえに、℃-uteなんか避けて通ってるどちらかといえばエルダー派。なんで僕を?と思わないではいられなかったですけど、直接携帯にメールで(しかも長文で)熱心に推薦していただいて、その行動に僕の心は動いた。


もう1つは、僕自身Berryz工房℃-uteの若いグループの勢いを見過ごせなくなってきたこと。最初は勢いで片付いたかもしれないけれど、こうまで人気を目の当たりにすると「人を惹きつけているのは何か」見極めてみたくなったってわけですね。勢いだけじゃない、何かあるのだろうかと。食わず嫌いでいるよりちょっと体験してみるかな、みたいなね。

そんなわけで観に行くことにしたんですが、今年初参加のライブがお芝居、しかも℃-ute初体験になるとは夢にも思いませんでした。



さて内容ですが、ストーリーはひと夏の思い出といった感じでごく普通のもの。℃-ute演じる少女たちの夏休みに怒った不思議な出来事を核にストーリーは進んでいきます。


待ちに待ってた夏休み。

海の見える別荘で、わたしたちだけの共同生活が始まる!

波の音。星の夜。楽しい夜更かし。

開放感に期待がいっぱい・・

なのに別荘に着いたら、親戚のバカおじさんたちが勝手に遊びに来てしまって!

・・なんでここまで来てオジさんたちと寝泊まりなんてしなくちゃならないの~?

しかも真夜中に「鏡の部屋」の大鏡を覗いたら・・

わたしじゃない女の子が映ってて・・

キャァーッ!!


*「寝る子はキュート」あらすじ より



詳しい内容は(ここで書くと僕の筆が途絶えそうなので)DVDを買って観て頂くとして、脚本的にはまとまっていましたね。構成もセリフも不可はなく、って感じ。ひとつだけ大いに気になってしまったのが、ヒロイン来夏ちゃん(矢島舞美)にそっくりな夏美さん(矢島舞美・二役)が死んでしまった理由が「蜂に刺された」っていうところ。イヤ、死ぬよ?死んじゃうけど・・・なんかね・・・・もうちょっと他になかったのかな・・・。夏美さんが亡くなってしまったことに後悔しているチョーさんの演技が本気であればあるほど、僕にはその理由が滑稽に思えてきてしまって。ドラマチックにせよとは言わないが、もう少し何か・・・まぁバランスの問題ですね。


℃-uteの皆さんの演技は、やはり演技不足。声が細い。発声がきちんとしてないということは即ち演技の幅も狭まってしまうということであり、そこは勿体無かった。マイクで拾ってるのにあの声量とは。いい感じで演技してるなって思ったシーンが何度かあっただけに、単純なスキルの面で足を引っ張られているのはあまりに勿体無いですよね。まぁそこは当然圧倒的に経験不足だと思うので今後に期待ということですけども。

発声の仕方・身体の使い方・感情の表現・アドリブの利かせ方、どれもこれから学んでいくことだし、そうしていけばきっといい舞台表現をしてくれると思わせてくれるような輝きはありました。そういう「素直さ」みたいなものを感じた。


技術的な「拙さ」っていうのは随所に感じたって言うのが本音だけれど、そういうのを越える「輝き」ってあったと思う。観ていてある種の清々しさを感じた。もちろん大御所俳優さんの重厚な素晴らしい演技で感動するのもいい。非の打ち所がないような演技者が集まった劇団の作品を堪能するのもいい。でもそれよりどこかの学校の演劇部の公演や友達がやっている小劇団の舞台のほうが心を打つ場合がある。もちろんテクニックは必須なんだけど、それだけで語れない場合って絶対あると思うんですよね。それが未熟者ならではの勢いなのか、未熟だけに純粋で素直な魅力なのかはわかりませんけど、その人たちにしか出し得ない輝きや煌きってある。

今回の『寝る子はキュート』での℃-uteの皆さんも、拙いながら確実に人の心を掴む何かがあった。それは僕断言できると思うんですよね。



とまぁそんな感じに何か感じるところがあった公演で、僕は楽しめました。僕個人としては℃-uteのことをほぼ何も知らない状態で行ったので、新発見ばかりだったし。名前と顔が辛うじて一致する程度だったから、ああこの子ってこういう声してんだなぁとか、そんな単純な感動しきり。みんな可愛いんですよね、やっぱり。もうちょっと大人になったら彼女になってください、矢島さんと梅田えりかさんは今すぐ連絡ください、みたいな。役柄も本人のキャラクターに近づけて描かれているのはわかったので、性格もこんな感じなのかなといろいろ想像したり。℃-uteのメンバーっていうのはなんかデコボコで面白いですよね。またBerryz工房と違った、いい魅力。こんな言い方はなんですけど、Berryz工房ではない人たちを集めたグループには見えない、始めからこのメンバーでグループ組むのが決まっていたようなね。

ともあれこんな立ち位置の僕にさえ今後も機会があれば見ていきたいなと思わせるに充分な公演でありました。


最後に、一部で言及されていた観劇マナーのこと。初日がどうだったとかは知らないんですけど、僕が観た回は概ね良好でありました。立ったり奇声を上げたりは無かったので。

ただ違和感はいくつか。℃-uteのメンバーが初登場する度に拍手が起こるのには面食らいました。心理的には歌舞伎役者に「○○屋!」と声をかけたりするのと似ているのでしょうが、相手は歌舞伎俳優でも大物俳優でもなく舞台経験浅のアイドル女優。そういうのはいずれ拍手をもらえるようになるまで取っておくが彼女たちのためだと僕は思いました。ファン心理としてはわからなくは無いけど、まだ早ぇーよ。


それと同じで笑いのポイントで笑うタイミングが早い観客も気になりました。それも別の意味で早いだろ!と(笑)たぶん笑ってる本人は自覚無いと思うんです。何度か観に来ていたり、演者の熱心なファンだったりすると、どうしても笑うポイントが意識下に組み込まれているのでそのちょい手前で笑う。こういう観客は普通の劇団公演に行っても必ずいるんですよね。だから珍しいことではないんだけど・・・自分が笑いたかったのにフライングで笑われると非常に気分が萎えますね。そういう人たちは大概笑い声が大きいし。その「笑ってるところを誰かにアピールしている感じ」が僕はイヤ。演じている人たちのファンだからってそんなに笑ってやる必要はどこにもないよ?笑いたいときに笑えばいいし、「心の中でのちょっとしたクスッ」っていうのも大事にしたらいいと思うのよ。


あとはミニライブパートでがっつくファンにいつも通り引いたりしましたね。やっぱりいい大人というかおっさんが「愛理!愛理ぃぃぃ~~!!」って必死になっている姿はちょっと異常に思える(笑)怖いよ、単純に!相手はあんな線の細い女の子なんだからもうちょっと紳士的にさ・・・って無理か。歌の最中に「ヲイ!ヲイ!」言うからせっかくの初℃-ute生歌聴こえないのも相変わらずだし。まぁ生じゃなくて口パクだったけど。それも相変わらずで残念。お互い様ってか。



感想文も終盤でちょっと愚痴っぽくなってきましたけれども、この公演で僕も彼女たちの今後に興味を持てたので、そんな人たちも来やすい優しい環境になったらいいですね。いろんな意味で期待を込めて!ってことで今回は締めさせていただきます。